オンライン交流についてのQ&A
⽇本の中学校の教員として、積極的に海外との国際交流や当財団主催の交流プログラムなど、たくさんのオンライン交流に取り組んでおられる経験豊富な先⽣に、オンライン交流ついてお聞きしました。
事前準備〜実施までの進め方、学校内で同意を得る方法、オンライン交流を成功に導くポイントなどを紹介します。
これから、オンライン交流を始めてみようとお考えの先⽣方はご参考にしてください。
Q.オンライン交流の事前準備〜本番までの進め⽅を教えてください。
A. 「オンライン交流 進め⽅ガイド」 に詳細を記載しています。
⇒「オンライン交流進め方ガイド」はこちら
Q.授業計画書の書き⽅のコツなどはありますか︖
A. 学校内で同意を得るためには、説得できる授業計画書が重要です。⼤掛かりなものをつくらなければならないと予想しそうですが、A4用紙1枚で⼤丈夫です。「これなら教育効果の高い交流ができそう」と管理職に思わせる内容にすることが大事です。
ポイントは、次のとおりです。
オンライン交流を実施する教科と連動した目的を記載する
⽬的、期⽇、タイムテーブル、交流の内容、交流校の詳細など、ある程度記載して提案する
⽂科省の学習指導要領からオンライン交流に活用できる内容を選択し、計画書に盛り込む
◉ 授業計画書の雛形を⽤意しています。教科の⽬的をすこしアレンジすればそれで完成︕
*PDFはこちら
Q.「オンライン活動における個⼈情報取扱いに関する同意書」への承諾はどうやってとられましたか︖
A. 生徒のオンライン活動への参加は保護者の承諾が必要です。また、保護者の理解は重要です。保護者からスムーズに同意を得るためには、同意書に加えて、保護者向けの依頼文を用意しましょう。さらに、生徒へ本同意書提出の意図を伝えることは、個人情報取扱いの重要性を学ばせる機会となります。学校・保護者と博報堂教育財団が正式に同意書・承諾書を取り交わす姿を見せることで生徒たちは多くのことを学ぶものと考えています。
Q.「オンライン交流」できる教科は何ですか︖
A. 授業でのオンライン交流は、全ての教科で実施可能です。オンライン交流を担当される教師ご⾃⾝の担当教科で実施するのがスムーズです。担当教科であればご自身が受け持っている授業時間内で調整が可能ですし、内容も考えやすいと思います。
まずはお互いの紹介(⾃⼰・学校・地域など)から行い、その後に教科と連動したテーマでお互いの国の⽐較をするなど、少しずつ深い交流へと進化させていくとよいでしょう。また、教科にしばられない「総合学習」の時間で自由にテーマを決めて行うのも、方法のひとつです。
Q.相⼿校(海外校)との調整のポイントを教えてください
A. 相⼿校と相談しながら内容を詰めていくやり⽅だとなかなか前に進みません。⽇本校が主導して、どんな交流を、どんな⽅法でしたいか、時期や時間など、ある程度こちらで概要を決め、そして詳細を相⼿校と調整しながら進めていくスタンスがよいと思います。
取り決める事で⼀番難しいのは⽇程調整です。まず第⼀に⽇程の調整を⾏いましょう。
海外なので時差があります。交流日時を双方が都合のよい時間であわせることはなかなか難しいので、臨機応変に対応できる姿勢が必要です。
本番までは、事前にメールかチャットで連絡をとります。実施まで2回〜3回ぐらい⾏います。
交流の内容、当⽇の進⾏、そして⽣徒への案内や実施準備などについては、1ヶ⽉前ぐらいからで⼤丈夫です。
Q.オンライン交流の参加⼈数は何⼈ぐらいが⼀番ベストですか︖
A. クラス単位程度が⼀番よいでしょう。学年や学校単位になると場所も広いスペースになります。また、⼈数も多くなると集中⼒がなくなります。時間も調整しやすいので、まずはクラス単位の30 ⼈〜40 ⼈程度がベストです。
交流の内容や相⼿校の参加⼈数によっては、少⼈数グループや、体育館で全校⽣徒で行うとか、いろいろなバリエーションがあってもおもしろい交流ができます。
今後は、⾃宅から各々のパソコンで参加する交流もあるかもしれません。時差がある国の生徒と交流を行うには、授業時間外でも自宅でできるので便利です。その場合、お互いの教師も必ず参加すると同様の交流ができるようになるでしょう。
Q.本番に必要な機材は何ですか。
A. 通常の教室で行うオンライン交流は、カメラとマイクを内蔵したパソコンであれば実施できます。一方、大きな教室でビデオ会議をする場合は、プロジェクターなどを使用することがあるかもしれません。簡単な機器を用意することで、より良い環境でオンライン交流を行うことができます。
インターネットは、有線で接続することを推奨します(回線速度が安定するため)。LANケーブルでパソコンとインターネットルーターを接続しましょう。
カメラは、パソコン内蔵のものでもよいですが、画質は専用のUSBカメラのほうがきれいです。また、カメラの向きを変えるのもUSBカメラのほうが便利です。なるべくUSBカメラを利用しましょう。
マイクは、専用のUSBマイクの方がきれいに音を拾います。オンライン交流では映像よりも音の情報がしっかり伝わることが大切です(映像の不具合があっても、音が伝わればコミュニケーションを続けやすい傾向にあります)。また、マイクの場所や向きを変えるにはUSBマイクのほうが便利です。なるべくUSBマイクを使用しましょう。
スピーカーは、パソコン内蔵のものでもよいですが、音量は外部スピーカーを使用したほうが大きく拡声することができます。なるべくパソコンのオーディオ出力から外部スピーカーに接続しましょう。
*外部スピーカーを使用する場合は、「ハウリング」に注意しましょう。「ハウリング」は、スピーカーとマイクが近距離で向かいあうと起こる音のループのことです。プロジェクターのスピーカーを利用する際に起こることが多いので、スピーカーとマイクはできるだけ離すようにしましょう。
より大きな画面で見たい場合は、プロジェクターや大型モニターを使いましょう。パソコンのHDMI出力を使用するときれいに映像を見ることができます。
*プロジェクターを使用する場合は、部屋の明るさに注意しましょう。プロジェクターの映像を見やすくするために部屋全体を暗くすると、カメラで撮る映像も暗くつぶれてしまいます。
Q.本番の進⾏は、教師がやった⽅がよいですか、それとも⽣徒でしょうか︖
A. 最初は教師主導で進行するほうがよいですね。
⽣徒主導の場合、満足度や達成感は高くなりますが、全ての⽣徒が関われない状況になることがあります。リードする生徒たちは自分の役割をこなすことで精一杯となり、一般生徒に配慮することは難しいです。また、オンライン交流の場合、機材や通信の不具合やコミュニケーションの不安など、予定通りにいかないことが多々起こります。不測の事態に対応したり、すべての生徒が集中して参加できるよう気を配ったりするためにも最初のうちは教師主導がベストです。
回を重ねながら、生徒に主導させてみるのが良いでしょう。
Q.事前に、伝わる⽇本語の練習は必要ですか︖
A. 交流できる海外校⽣徒は⾃国で⽇本語を学習している⽣徒ですが、⽇本語レベルはさまざまです。⽇本校⽣徒は、海外校⽣徒へ伝わる⽇本語を使⽤することがとても重要です。
財団では、伝わる⽇本語のレクチャーもおこなっているので、生徒には、講座を受講することをお勧めします。
相⼿に伝えるためにはどうすればよいか考えることは、⽣徒にとって、大きな学びにつながります。